セロ弾きのゴーシュその52
メニュー

セロ弾きのゴーシュその52

作品:セロ弾きのゴーシュ
作者:宮沢賢治

「ああそうか。おれのセロの音がごうごうひびくと、それがあんまの代りになっておまえたちの病気がなおるというのか。よし。わかったよ。やってやろう。」ゴーシュはちょっとギウギウと糸を合せてそれからいきなりのねずみのこどもをつまんでセロの孔《あな》から中へ入れてしまいました。
「わたしもいっしょについて行きます。どこの病院でもそうですから。」おっかさんの野ねずみはきちがいのようになってセロに飛びつきました。
「おまえさんもはいるかね。」セロ弾きはおっかさんの野ねずみをセロの孔からくぐしてやろうとしましたが顔が半分しかはいりませんでした。

次へ



-------------------------------------------------------
底本:「新編 銀河鉄道の夜」新潮文庫、新潮社
1989(平成元)年6月15日発行
1994(平成6)年6月5日13刷
底本の親本:「新修 宮沢賢治全集」筑摩書房
入力:水口充、野口英司
1999年7月23日公開
2004年3月22日修正
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。




-------------------------------------------------------
【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)眼《め》を

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)第六|交響楽《こうきょうがく》
-------------------------------------------------------

Copyright © 2007.5   宮沢賢治の文学作品 All Rights Reserved.



[PR] ニュースに一言 時事のニュース 人気韓国ドラマ