セロ弾きのゴーシュその5
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セロ弾きのゴーシュその5

作品:セロ弾きのゴーシュ
作者:宮沢賢治

 みんなはまたはじめました。ゴーシュも口をまげて一生けん命です。そしてこんどはかなり進みました。いいあんばいだと思っていると楽長がおどすような形をしてまたぱたっと手を拍ちました。またかとゴーシュはどきっとしましたがありがたいことにはこんどは別の人でした。ゴーシュはそこでさっきじぶんのときみんながしたようにわざとじぶんの譜へ眼を近づけて何か考えるふりをしていました。
「ではすぐ今の次。はいっ。」
 そらと思って弾き出したかと思うといきなり楽長が足をどんと踏《ふ》んでどなり出しました。

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底本:「新編 銀河鉄道の夜」新潮文庫、新潮社
1989(平成元)年6月15日発行
1994(平成6)年6月5日13刷
底本の親本:「新修 宮沢賢治全集」筑摩書房
入力:水口充、野口英司
1999年7月23日公開
2004年3月22日修正
青空文庫作成ファイル:
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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)眼《め》を

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)第六|交響楽《こうきょうがく》
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