銀河鉄道の夜その41
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銀河鉄道の夜その41

作品:銀河鉄道の夜
作者:宮沢賢治

 それから俄《にわ》かにお母さんの牛乳のことを思いだしてジョバンニはその店をはなれました。そしてきゅうくつな上着の肩《かた》を気にしながらそれでもわざと胸を張って大きく手を振って町を通って行きました。
 空気は澄《す》みきって、まるで水のように通りや店の中を流れましたし、街燈はみなまっ青なもみや楢《なら》の枝で包まれ、電気会社の前の六本のプラタヌスの木などは、中に沢山《たくさん》の豆電燈がついて、ほんとうにそこらは人魚の都のように見えるのでした。子どもらは、みんな新らしい折のついた着物を着て、星めぐりの口笛《くちぶえ》を吹《ふ》いたり、

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底本:「新編 銀河鉄道の夜」新潮文庫、新潮社
   1989(平成元)年6月15日発行
   1994(平成6)年6月5日13刷
底本の親本:「新修宮沢賢治全集 第十二巻」筑摩書房
   1980(昭和55)年1月
入力:中村隆生、野口英司
校正:野口英司
1997年10月28日公開
2004年3月2日修正
青空文庫作成ファイル:
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