銀河鉄道の夜その157
作品:銀河鉄道の夜
作者:宮沢賢治
「いまこそわたれわたり鳥、いまこそわたれわたり鳥。」その声もはっきり聞えました。それといっしょにまた幾万という鳥の群がそらをまっすぐにかけたのです。二人の顔を出しているまん中の窓からあの女の子が顔を出して美しい頬《ほほ》をかがやかせながらそらを仰《あお》ぎました。
「まあ、この鳥、たくさんですわねえ、あらまあそらのきれいなこと。」女の子はジョバンニにはなしかけましたけれどもジョバンニは生意気ないやだいと思いながらだまって口をむすんでそらを見あげていました。女の子は小さくほっと息をしてだまって席へ戻《もど》りました。カムパネルラが気の毒そうに窓から顔を引っ込《こ》めて地図を見ていました。
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底本:「新編 銀河鉄道の夜」新潮文庫、新潮社
1989(平成元)年6月15日発行
1994(平成6)年6月5日13刷
底本の親本:「新修宮沢賢治全集 第十二巻」筑摩書房
1980(昭和55)年1月
入力:中村隆生、野口英司
校正:野口英司
1997年10月28日公開
2004年3月2日修正
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ(例)川だと云《い》われたり
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号(例)光る粒|即《すなわ》ち星しか
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定(例)僕《ぼく》ん[#「ん」は小書き]とこへ
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作者:宮沢賢治
「いまこそわたれわたり鳥、いまこそわたれわたり鳥。」その声もはっきり聞えました。それといっしょにまた幾万という鳥の群がそらをまっすぐにかけたのです。二人の顔を出しているまん中の窓からあの女の子が顔を出して美しい頬《ほほ》をかがやかせながらそらを仰《あお》ぎました。
「まあ、この鳥、たくさんですわねえ、あらまあそらのきれいなこと。」女の子はジョバンニにはなしかけましたけれどもジョバンニは生意気ないやだいと思いながらだまって口をむすんでそらを見あげていました。女の子は小さくほっと息をしてだまって席へ戻《もど》りました。カムパネルラが気の毒そうに窓から顔を引っ込《こ》めて地図を見ていました。
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底本:「新編 銀河鉄道の夜」新潮文庫、新潮社
1989(平成元)年6月15日発行
1994(平成6)年6月5日13刷
底本の親本:「新修宮沢賢治全集 第十二巻」筑摩書房
1980(昭和55)年1月
入力:中村隆生、野口英司
校正:野口英司
1997年10月28日公開
2004年3月2日修正
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ(例)川だと云《い》われたり
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号(例)光る粒|即《すなわ》ち星しか
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定(例)僕《ぼく》ん[#「ん」は小書き]とこへ
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